「心配しなくても、キミも連れてくから安心しな?友達が壊れるのを見てから、キミも壊してあげるからさ」

 耳元で呟かれた言葉に悪寒が走る。

 少しだけ振り返った見えた銀髪は私が苦しむのを楽しんでる。

 あぁ、なんて馬鹿なことをしたんだろう。

 やっと分かった。この銀髪は夏樹自体にあまり関心がない。

 多分、1番夏樹に関心があるのはキョウヤなんだ。

 この銀髪は、自分の邪魔をした私が気に食わない。私が苦しむのを見たい。

 だから、秋奈を助けようとする私を見て、秋奈を追いつめる選択をした。

 それが私を苦しめると分かっているから。

 秋奈、ごめん。私が余計なこと言わなければ秋奈が苦しむこともなかったのに…。

 気絶したままの秋奈が荒々しくキョウヤに担がれる。

 そして沙緒も茶髪の天然パーマに立ち上がらされた。

「てめぇらには、夏樹を釣る餌になってもらおうか」

 終わりだ。何もかも。

 こいつらの倉庫に連れて行かれたら、正常では帰って来れない。

 何かが壊れて元の自分には戻れなくなる。

 せめて、せめて秋奈だけは離してほしい。

 何でもするから、秋奈だけは…。

 無理矢理押されて歩かされる。

 裏口から出るのかとぼんやり考えていた時、不意にシャッターを開ける音が聞こえた。