夏に体を向け、微笑んだ。

 目が覚めたらいなくなってて、たくさんイライラして、めちゃくちゃに探し回って、2度も離れた夏が目の前にいる。

 それが嬉しくて、笑っていたいのになぜか涙がこみ上げてくる。

 それを飲み込んで笑う。

「おかえり、夏」

「…ただいま。秋奈」

 照れくさいように頬をかいて、笑った夏はすっきりした顔で、お兄さんとちょっとは話せたのかもしれない。

 …ダメだ。泣きそう。全部夏のせいだ…。

「…ッ夏!」

「え?うわ!?」

 そんなに驚かなくてもいいじゃんか。

 思いっきり抱き着けばビクッてなって、だけどぎこちなく抱きしめてくれる。

「ごめんな」

「ッバカ!どっか行ったら、また探してやる!!」

「…もう、行かない」

 ぎゅっと抱きしめてくれる手は少しだけ震えてて、また同じだ。

 誤魔化すために力いっぱい服を握って、夏の肩に顔を押し付けた。