「アホだろ」

「瞬…」

「…怪我ねぇな」

 トーマスの手に掴まったままでいると、瞬が支えてくれる。

 瞬にも散々心配かけちゃった…。

 本当は怒られてもしょうがないのに瞬は怒るどころか優しい。

 抱き着けば頭を撫でてくれて、なんだかほっとした。

「夏樹」

 私を片手に支えながらも夏に手を差し出した瞬。

 夏は少し迷った後にその手を掴んで今度こそ立ち上がる。

「今度秋巻き込んだら殴る」

「…うん」

 こっそり、多分私たちにしか聞こえないような声で言葉を交わした2人。

 夏は私の方を見ると笑みを浮かべた。

 それを見て、瞬は少し離れてくれる。