大勢のバイクが引き上げていく。

 何事もなかったように静まり返っていく倉庫。

 最後に残った城崎さんともう1人がバイクにまたがって、私たちに近づいてくる。

「んじゃ、俺らはこれで」

「あ、ありがとうございました」

「…なんかあったら、呼んでくれ。志季は俺らがこっそり守ってやるから」

 また頭をポンってされる。ヘルメット越しで顔はよく見えなかったけど、笑ってるような気がした。

 城崎さんはトーマスに頭を下げてエンジンをふかして去っていく。もう1人も頭を下げて城崎さんを追いかけて行った。

 私たち以外誰もいなくなった倉庫はがらんとしていて、異様に静かだ。

 改めて倉庫を見上げるけど、ほんとにおっきい。

 志季とは全然比べ物にならないや。

 振り返れば、みんながいる。安心したような顔で、笑ってくれていた。

「…みんな」

 少しだけ表情を引き締めたみんな。

 少し埃をかぶっているけど、誰も怪我してない。

 前はあんな大怪我したのに、本当に同じ相手だったのかってちょっと不思議だ。

「ありがとうございました!」

 頭を下げる。

 みんなが来てくれなかったら薬を打たれてた。夏を連れ戻せなかったかもしれない。勝手に来ちゃったのに迎えに来てくれたみんな。

 どれだけお礼を言っても足りないくらいだ。