誰も、何も言わない。
静寂が倉庫を包み、誰も動こうとしなかった。
カチャリ。
妙に耳に残る音。そして、どこかで聞いたことがあるような…。
何気なく向けた視線の先で、信じられないモノを手に取った姿を捉える。
「みんな!しゃがんで!!」
そう叫んだ次の瞬間。
―バンッ
運動会の合図の音よりもずっと重い音が倉庫に響き渡る。
視界の隅で飛び散る赤い華。
視線だけを向けると、仰向けに倒れていく恭也の姿。
人が倒れる音。流れ続ける赤。
こちらに背を向けた夏の顔にも飛んだそれは、紛れもなく血だ。
2階を見上げると、冷たい目をしたリツキが銃口を恭也へ向けていて、その手をゆっくりと下ろしていく。
…人を、撃った…?
ためらいもなく、人を打ち抜いた…?
あの人は、一体…。