「夏樹…」

「…」

 恭也をまっすぐ見下ろす夏の目は迷いがない。

 完全に戦意のない恭也に刀を下ろし、邪魔をしないように後ろに下がる。

「いいのか」

「うん。…これは、夏が決めることだから」

 みんなを見渡せば、楽勝と言うようにみんなが余裕な笑顔で立っていた。

 紫炎のメンバーで立っているのはもう、リツキしかいない。

 だけど、そのリツキは2階から降りてこようともせずにただ冷たい目を私に向けていた。

「…なぜだ。…っなぜ、言う通りにしねぇ!!」

 突然声を上げたのは、恭也で、動揺した目のまま、夏に怒鳴りつける。

 だけど、夏は冷静で、恭也を黙って見下ろす。

「どうせお前も、俺も、ここでしか生きていけねぇんだ!なのに、なんで俺に逆らうんだ!!」

「俺は兄貴とは違う」

「あぁ!!?」

 静かに告げた夏の言葉に逆上する恭也。

 だけど、夏は息を吸い込むと泣きそうな目で恭也を見下ろした。