男の表情が変わる。

 だが、驚いて動けねぇとは。

 だけど、止めるつもりは端からねぇ。

 その目、貰うだけだ。

 狙うのは右目。目を見開いたまま動かねぇ男。

 もらった。木刀の先が男の目を潰す。

「秋奈ぁぁああ!!!!」

 心臓が嫌な音を立てる。

 目を覚ました意識が体の動きを止める。

 木刀の先は、男の目に届く寸でのところで止まっている。

 …ッチ。ここまでか。

 急速に体の支配権から離れ、また暗闇に戻っていく。

 だが、半分ほど戻ったところで己を引き留める。

 流石にまだ、戻るわけにはいかねぇ。

 てめぇが傷つくところを黙って見ているほど、どうでもいい体でもねぇ。

 だから、最後まで見てやるよ。

 てめぇが何をしてでも取り戻したいものの、行く末を。

???side END