「…俺に勝てるとでも思ってんのか」

「さぁ?…でも、負けるつもりはない」

 木刀を握る力を強める。

 手加減なんかしない。そんなことして勝てる人じゃないことは分かってる。

「っは、いいだろう。俺に片膝付かせたら夏樹はくれてやる」

 恭也は不意に笑みを浮かべるとそう言い放った。

 だけど、直後にただしと付け加え、舌なめずりをする。

「てめぇが負けたら、おもちゃになってもらおうか」

「ならないよ。…私が勝つんだから!!」

「ッチてめぇら、その女を潰せ!!」

 男たちの雄叫びが響き渡った瞬間、全方位から向けられた殺気。

 ほぼ同時に向かってくる男たちの気配を感じながらも目を閉じ、抜刀の構えで呼吸を整える。

「ッ秋奈逃げろぉぉおお!!」

「修羅、6割」

 目を開き、目の前まで迫ってきた男を切り裂いた。