「女が、何しに来やがった」

「夏樹を返して」

「あ?」

 表情が険しくなったのがわかる。

 あの人の殺気がここまで届いて来るみたいだ。

 でも、目の前にいない分萎縮はされない。

 修羅のおかげかもしれないけど、今なら動ける。

「夏樹は志季のメンバーです。だから返して」

「…」

 無言で睨まれ続ける。

 気に食わないって言う顔。

 でも、そっちだっていきなり来て散々暴れてくれたし、文句言える立場じゃないと思うんだけど。

「あはは、キミおかしいこと言うね」

 割り込んできた声は、銀髪の人の声。

 六花を傷つけた奴だ。

 おかしいと言って笑いながらも、その目は完全に冷めてる。

 なんでか、恭也って人よりこっちの人の方が薄気味悪い。