視線を逸らしたままソファーに座って、便所と適当に答えた。

「あぁ、夏樹。今日全員来るから」

「…は?」

 全員って、幹部ってことだよな。珍しいこともあるんだな。

 少なくともこの1か月、幹部が全員ここに集まったことなんか1回もないのに。

 リツキはなぜか楽しみだと言わんばかりに笑みを浮かべていて、それが気持ち悪くて視線を逸らした。

「あ、リツキさん」

「1番乗りだね」

「え?本当ですか?ラッキー」

 入って来たのは小柄で茶髪の奴。

 幹部の中で、1番の新入りで最年少。多分、リツキのお気に入りって感じだ。

 俺の隣に座ってきたそいつは、人懐っこそうな顔で笑いかけてくる。

「夏樹さんもこんちわ」

「…」

「ちょっと、あいさつくらい返してくれてもいいじゃないですか。俺、夏樹さんのこと結構すげーなーって思ってるんですよ」

 胡散臭そうだな。仲良くするつもりもねぇけど。

 視線を逸らすと隣からぶつぶつ聞こえてくる。