「…っい…」

 目を覚ましたこいつは俺を見て首をかしげる。

「リツキに連絡したのお前か?」

「…はい」

「はぁ、立てんのか?」

 手を差し出せば捕まって起き上がる。

 まぁ、何とか大丈夫そうだな。

「戻るついでに用事済ませていくぞ」

 出来ればまだよく分かってねぇチビ連れて来たくねぇけど、まぁ兄弟に見てくれればいいけど。

 …こんなボロボロだったら意味ねぇか。

「あ、あの…。夏樹、さんですか?」

「…知ってたのか」

「こ、黒狼の通り名。有名でしたし。お、俺、あこがれてて!」

「やめとけ」

 こいつ、やっぱろくに知らねぇのに踏み込みやがったのか。

 よりにもよって、こんなひでぇとこに踏み込みやがって。