「何?」

「…お、お礼したい。から連絡先教えてほしい…」

「秋」

「…悪いけど、教えられるような連絡先はないから」

「でも…」

 渋るなよ。

 俺も、お前も関わってろくなことなんかねぇんだから、ここで名前も知らねぇままさよならした方がいいに決まってんだろ。

 なのに、なんで繋がりなんか持とうとすんだよ。

 …なら、その気をもう起こさせねぇようにすれば…。

 ニヤリと口角を上げて、女の子の手首を掴んで引き寄せる。

 目と鼻の先の女の子は戸惑った顔をしていて、笑って見せた。

「そんなにお礼したいって言うなら、お望み通り応えてあげようか?」

「ッお前!」

「…いいよ」

 …は?いいよって、え?

 ちょっと待った。この子大丈夫か…?