「ッやめて!彼は、私たちを助けてくれた男の子です!!」

 割り込んできたのは、女の子だった。

 両手を広げて俺の前に立つ女の子は怖がってるはずなのに、まっすぐ警察を見つめる。

 警察は急に勢いを失くして、渋りだした。

「…俺からも、お願いします。こいつは、俺らを助けるために自分を盾にしてそこで倒れてる4人を止めてくれたんです。お願いします。見逃してください」

 男の方まで俺の前に立って、頭を下げる。

 …なんだよそれ。俺は、お前らを助けたつもりなんかねぇのに。

 なんで助けたとか言うんだよ。

 違う。俺は、そんないい奴じゃない。

 俺は、ただむしゃくしゃしてて、こいつらのケンカを貰ったんだ。

 お前らを助けたわけじゃないんだ…。

「巡査長!この少年たち、薬物らしきものを」

「何!?」

 警察の方が騒がしくなる。

 あぁ、薬か…。紫炎の奴だし、やっててもおかしくねぇよ。

 ぼんやり警察を見つめてると、いきなり手を掴まれる。

「あ…。い、いこ!」

「は?」

「いいから!」

 女の子に手を掴まれて走り出す。

 男の方も反対側の手を掴んできて、思わずぎょっとする。

 後ろから警察の声が聞こえても足は止めない。

 結構速いスピードに合わせながら、その場から逃げ出した。