「死んだ」

「は?」

 何を言ってるんだよ…。

 死んだって、誰が…。

「嘘だ」

「あ?」

「嘘だ!!!」

「嘘じゃないよ」

 勝手に口が動いてたのに、楽しそうな声が割り込んでくる。

 振り返れば知らない男が笑顔を浮かべて携帯を見せてくる。

 携帯を奪い取るようにして取ると、そこに表示されてるのは、じいちゃんとばあちゃんの顔と、名前で…。

『××町で高齢の夫婦殺害』

 大きな見出しは信じたくないことが書かれていて…。

 嘘だ。こんなの…嘘だ…。

 目の前が歪む。

 わけわかんない思いが体の中を駆け巡っていく。からんと何かが落ちる音が聞こえた。

「ッ…うぁぁあああああ!!!」

 なんで、なんで、なんで、なんで、なんで…。

 なんでばあちゃんとじいちゃんが!!

「帰る家もねぇ。今日からここにいろ」

 泣き叫んでた俺に、兄貴が言ったのはそんなことで、その場に泣き崩れて声がかれるまで泣き続けた。