気絶した秋奈を抱き上げて、立ち上がる。

 なんか、痩せてる?こんな軽かったっけ…。

 1か月会ってなかっただけなのに、すごい長い間会ってなかったような感覚だ。

「…秋奈、ごめんな」

 商店街の傍に連れて行けば、志季の誰かが見つけてくれる。

 こんなとこで寝かしとくのは危なすぎるしな…。

 とりあえず商店街に向けて歩き出す。

「…はぁ、嫌われるつもりでやったのにな」

 全然抵抗しないから俺の方が耐え切れなくなるとか、意味わかんねぇんだけど。

 頭を撫でてくれる感覚も懐かしくて勝手に涙出てくるし。

 はぁ、だっせぇ。

 こんなんだから兄貴がイラついた時にすぐ殴られるんだよな…。

 秋奈の顔を見て、勝手に頬が緩む。

 こんな心が穏やかになる。

 秋奈の隣は心地いいから、ずっとそこにいたくなる。

 さっきだって、なんか安心して、でもめちゃくちゃにしたくなって、秋奈が抵抗してたらどうしたか分からない。

 瞬桜に殴られ…るだけならぬるいかも。殺されそう…。