左手で押し返そうとするとその手も掴まれて右手と一緒に頭の上で固定される。

 その間も夏は離れなくて、苦しさで開けた口に何かが滑り込んでくる。

「ッんあ…」

 変な声出た…。でも、余裕なんか全然なくて夏に翻弄される。

 次第に足の力が抜けて倒れ込む。た、立てない…。

 目の前が急に影って顔を上げるとまた口を塞がれる。

 地面に押し倒されて夏が覆いかぶさってくる。

「っん…な…つ?」

「抵抗しないんだ。まぁ、いいけど」

「ッ!?」

 首に顔をうずめてくる夏が動くたびに髪の毛が当たってくすぐったい。

 わ、私、今何やってるの…?

 やっと冷静になって来て自分の体制がおかしいことにやっと気づく。

 こ、これじゃあまるで…。急に頭が理解して顔が熱くなる。

 な、なんでこんな…。

「秋奈…」

「…夏?」

「秋奈。…秋奈」

 夏の声が湿ってるのは、気のせい…?

 胸に顔をうずめたまま夏は動かなくなる。時々顔は動かしてるけど…。

 うぅ、くすぐったいんだよ…!

 夏に抱き着いて我慢してるけど、さっきから心臓バクバクいってる。