「ッぐえ」

「は?」

 背後から聞こえてきた変な音に驚いて振り返る。

 1番後ろを歩いていたらしい人が倒れてる。

 倒れた男の人を足蹴りにしている少年を呆然と見つめた。

 勝手に視界が揺らぐ。

 金髪は相変わらずだけど、着ている服もわずかに見える腕も足もボロボロだ。

 やっと、やっと会えた…、夏。

「…夏樹、何してやがる」

 私を拘束した人が低い声を出す。

 ひときわ強く倒れた男の人を蹴った夏は、ゆっくりとこちらに視線を向ける。その目を見た時、思わず足がすくんだ。

 見たことがないほど鋭くて、冷たい…。

 いつもバカみたいに笑ってたのに、今の夏は表情がなくて、怖い…。

「それ、俺の」

「あ?」

「兄貴のじゃねぇ」

「何訳わかんねぇこと…」

「勝手に手出してんじゃねぇって言ってんだよ!!」

 夏がそう切り出した瞬間、夏はもう近くにいた1人を殴ってた。

 応戦していこうと動き出す男たちだけど、夏の方がずっと速い。

 全て1撃で落とした夏は、最後に残った私を拘束してる人を睨む。