…そう、だ。なんで今まで忘れてたんだろう。

 …なんで、今思い出すんだろう…。

 あの時、たまり場に来た人たちは、夏樹を探していた。

 それで、戻ってきちゃった夏は、あの人たちについて行ってしまったんだ。

 私たちを守るために。夏は…。

「恭也さんが飽きたら、俺の相手もしてね」

 そうだ、今は考えてる場合じゃない。逃げなきゃ。

 …あれ、でも。この人たちキョウヤさんって…もしかしたら夏がいるところに連れてってくれるかもしれない。

 …行くしかない、かな。

 大丈夫、もやもやは1個消えた。

 どのみち夏に会わなきゃ私のもやもやは消えないんだ。

 なら、どこであろうと行ってやる。

「あれ、震えが止まったね。度胸あるんだねぇ」

「…」

「まぁいっか。行くぞ」

 他の男の人たちに声をかけたこの人は、私の肩に手を置いて歩き出す。

 大人しく足を進めて、歩き出す。