はぁ、とため息をついたのは中学の時に通っていた塾の近く。

 9時ぐらいまで探してるのになんで見つからないのかな…。夜中じゃないとダメ?でもそれは流石に怖いからできないし…。

 六花みたいにパソコンできたら何か違ったかなぁ。

 またため息をついて、背筋を伸ばす。

「…」

 そう言えば、夏と初めて会ったのって、ここの路地だっけ。

 …少しだけ、行ってみようかな。

 人ごみから外れて暗い路地へ入ってく。

 さっきまでたくさん人がいたのに、こっちには人の気配がまるでない。

 しばらく進んで、やっと着いた。ついたと言っても、路地の途中だけど。

 ここでカツアゲにあって、夏が助けてくれてたんだよね…。

 周囲を見ても誰もいない。

 …いるわけ、ないよね。何期待してたんだろ。バカみたいじゃん。

 あの時みたいに巻き込まれてもまずいし、早く戻ろう。