あれから、瞬が迎えに来ることはなくなった。

 部活に連れて行かれるのもなくなった。でも、瞬が志季に行くのもやめた。

 私に手を差し伸べることもなくなった。

 ケンカでもしたって、みんなに聞かれるけど、これはケンカなの?違うと思う。

 ただ、中学の頃に戻っただけなんだ。私が修羅に怯える前、ただ部活が同じだった、それだけの仲だった頃に戻っただけ。

 …ううん、もしかしたら、もっと前なのかもしれない。

 とにかく言えるのは、私と言う枷がなくなった瞬は部活に打ち込めているってこと。

 そして、瞬に好意を持った女の子たちが目立ってきたということだけだ。

 ついでに理紗もあれ以来まともに話していない。

 でも、瞬に話しかけに行ってる。私と話していた時間が瞬と話す時間になった。そんな感じ。

「秋奈」

「…」

 変わらなかったのは、六花と私。瞬と六花。2つの関係だけ。

 いいのって聞かれたときは何の意味か分からなかったけど、六花は瞬のことを言ってたから頷いた。

 せっかくかわいい女の子たちに囲まれてるのに、私がお荷物じゃ、その子たちの中で好きな子と一緒にいることもできないもんね。

 あ、でも…。私が瞬って呼んでたら、女の子たちまた誤解するかな。

 みんなと同じように、瞬桜くんか永井くんって呼び直さなきゃ…。