「…秋、俺はお前が思い出すことに反対じゃない。むしろ早く思い出せって思ってる」

 電車の到着を告げるアナウンスが流れる中、瞬は急に話しはじめて、聞き取りにくい。

 私を見た目は優しい色をしてた。

「思うように動け。おばさんがなんて言おうが気にするな。秋が思うように動けばいい」

 ホームに入って来た電車の扉が開く。

 電車に乗り込むと特に混んでないのに瞬に抱きしめられる。

「俺は秋が何を選ぼうが、一緒に進んでやる」

「…私も、一緒に」

 六花もくっついてきて、ちょっと…ううん。だいぶ暑い。

 だけど、傍にいると伝えてくれる2人に笑顔を向けて頷いた。

 1人で頑張らなくてもいいんだ。2人も味方がいる。それだけでも十分だ。

 商店街の最寄駅まで、離れようとした瞬の腕を掴んでそのままでいた。

 瞬の腕の中は安心するんだ。

 この人がいれば、絶対に大丈夫って安心できる。だから、私は大丈夫なんだ。