あぁ、イライラする…。
秋の記憶も声も戻らないままで、秋はやたら夏樹のこと聞こうとして来て、学校の奴らは変な噂ばっかりしやがるから秋の耳にそれが入らないようにするだけで精いっぱいだし。
はぁ、せめて秋の記憶が戻れば、秋が聞きたがってる本当のことも教えてやれるのに。
おばさんの説得は医者と親父さんでやってるみたいだけど、全然聞き入れてくれないみたいだし。
秋も相当ストレスになってるみたいだしな…。
これじゃあ逆効果なんじゃないか?
なんか俺に対しても不信感持ち始めてるし…。
秋に嫌われたらおばさん怨むぞ、俺…。
「あ、秋奈、瞬桜くん」
校門の外でそわそわしてたおばさんが俺たちに気づいて片手を上げて合図する。
だけど、その声も態度もでかすぎて注目の的になった。
目立ち過ぎだって、おばさん…。
それに、秋連絡してなかったのかおばさん睨んでるし…。
ひょっとしたら秋おばさんが、記憶が戻らないようにしてること知ってるんじゃないか?
睨んだままおばさんに向かっていく秋に慌ててついて行く。