事前にお母さんが連絡していたのか、先生は知っていたみたいだった。

 今日は始業式とかだけで、明日は1日かけてテスト。

 学校は普通に始まって、いつも通りの学生の生活が始まる。

 …なのに、夏の姿はどこにもなかった。

 頭の中では分かっていたはずなのに、心のどこかで期待してたんだ。

 何事もなかったように、夏が学校に来るのを…。

 バカだよね。夏の制服も、教科書も全部全部、お店の奥の部屋に置いたままだって、お父さんから聞いていたのに。商店街にも来てないって言ってたのに…。

 分かってたのに、ついあの金髪を探してしまうんだ。

「秋?」

 前を歩いてた瞬が振り返る。だいぶ距離が開いてたみたい…。

 少し走って追いつくと、瞬はまた歩き出した。

「秋、なるべく六花といろよ」

 理紗はダメなのかな…。

 理紗も朝は大騒ぎだったけど、帰り際にはもう普通に声かけてきてくれたのに…。

「六花といない時は俺の傍にいろ。変な興味で囲まれたら面倒だろ」

 瞬が脅しちゃったからそんなことする人いるのかな…。

 いたら知らなかったか、冗談だって割り切っちゃった人かな?