「永井くん…ねぇ、ほんとなの?秋奈が声出ないって…」

「何のためにホワイトボードなんか持ち歩いてると思ってんだよ」

 理紗の手を私の肩から払った瞬は理紗を睨み続けてる。

 理紗の大声でクラスメイトはもちろん、廊下にいた人たちも驚いた顔でこっちを見てる。

 うわぁ、結構すごい勢いで伝わっちゃいそうだな…。

 理紗に話すの、連れ出してからにすればよかった…。

 後悔ばかりしてると、落ち込んでると勘違いしたらしい瞬に頭を撫でられる。

「野暮なこと、これ以上聞くなよ。お前も、お前らも。秋を追い込むようなことしてみろ、全員ぶっ潰す」

「え…や、やだな。永井くんそんな怖い冗談…」

「冗談だと思うなら、さっきの続きしてみろよ。女でも俺手加減できないから」

「…」

 理紗が軽い調子で言っても瞬は本気で理紗を睨みつけた。

 そこに冗談とかないことを察した理紗も、みんなも息を飲んで呆然とする。

 そんな、脅さなくてもいいのに…。

「…秋、言いたいことあるなら、俺の顔見ろ」

 顔見ただけで分かるわけじゃんか。超能力者でもあるまいし…。

「超能力者?お前が分かりやすいんだよ」

 …分かるんだ。多分。

 顔を見上げればどうだと言わんばかりの顔をしてたから、あっかんべしてそっぽ向いておいた。