「で、でも…俺なんかがいいんですか…」

「なんだ。お前は万引きでもするような奴なのか?」

「しないですけど…。でも」

「ならいいだろ。その代わり、店を手伝え。バイト代はやるから、月1万は、ここの光熱費と家賃、残りは好きに使えばいい」

 流石お父さん。そこまで考えてなかった。

 夏樹くんは呆然としていたけど、また目を潤ませて、でも今度は堪えてお父さんに頭を下げた。お父さんも満足そうに頷く。

「夏樹、だったな。お前秋奈と同級生なんだろ?高校はどうすんだ」

「え、が、学校ですか…。何にも…」

「なら、秋奈、瞬桜と同じとこ行け」

「え!?」

「学費は、貸しといてやる。ちゃんと返せよ」

「え、あ…でも俺なんか」

「それやめろ。やってもねぇのに諦めんなよ。1か月で覚えろ。それまではバイトもしなくていい。勉強漬けだ」

 お父さんの決め台詞出た。やってもないのに諦めるな。

 何回それを言われてきたことか…。でも、それを言われるたびに背中を押されてるって思えて頑張れるんだ。