「ねぇ、夏樹くん家はどこ?」
「…」
「言えない?」
ご飯も食べて、落ち着いた時にずっと気になってたことを聞くと、夏樹くんはうつむいてしまう。
あの時、送ってもらうのが申し訳ないんじゃなくて、帰る場所がないんじゃないかって、意味が分からないことを漠然と考えていたけど、それは間違いじゃないのかもしれない。
夏樹くんはいくら待ってもそれを教えてはくれなかった。
「…なら、ここに住むか」
「ッ!?」
「あ、お父さん」
「ここ使ってないしな。古いがトイレも風呂もある。テレビもあるしな」
急に会話に入って来たお父さんは突然そんなことを言うけど、考えてたことは一緒だったみたいでほっとする。