「…なんで」

「夏樹くんが商店街の人たちに抱えられてきたから。ついでに3日前だけど、覚えてる?」

 3日後、やっと意識がはっきりした夏樹くんは私と瞬がいることにびっくりして、知らないところにいたこと、服が違うことで3回も驚いた。

 事情を簡単に説明すると、夏樹くんはぽかんとした顔で、マジか…って漏らしてた。

「ま、まさかずっと診てくれてたのか?」

「もちろん。体拭いてたのは瞬だけどね。勝手に脱がせてごめんね」

「…悪い。世話になった」

「どういたしまして。うどん食べる?」

「あ…ありがと」

 細かく麺切る前でよかった。

 私と瞬の分も用意して、一緒に食べた。夏樹くんはゆっくり箸を進めていたけど、その手が不意に止まる。

「ま、まずかった?」

「…ち、違う」

「どこか痛い?自分で食べれる?」

「…んで」

「ん?」

「…な、なんで…。ここまでしてくれんだよ…。俺と、あんたらは他人なのにっ」

 何かを堪えるようなそんな顔をしている夏樹くんはどこか寂しそうで、苦しそうだった。