とりあえずお礼を言って受け取って、箱を見ると症状にぴったりだった。

 流石師匠だよね。

 実はふーちゃんが言ってくれた薬局の先生、私に手当のあれこれを教えてくれた先生で、こっそり師匠って呼んでる。

 個人経営の小っちゃい薬局だけど、すごいいい先生だから常連さんがひいきにしてるんだ。

 もちろん私もその1人。テーピングとかの仕入れ先はそこに限るからね。

 薬を1錠出して早速準備する。

「って、こいつ寝てんのにどうやって飲ませ…」

 ぱくっと薬を口に入れて、お父さんの持ってたコップを奪い取って水を含む。

 寝てる人にこれはあんまりよろしくないけど、師匠、見逃してください!

 夏樹くんの首を起こして呼吸に合わせて少し開いてる口に自分のを重ねる。

 少し水を流して、ちゃんと飲み込んだのを喉の動きで確認して薬ごと水を流す。

 よし、ちゃんと飲み込んでくれた。

 って、うえ…薬苦い…。

 夏樹くんの頭を戻してから息を吐く。

 って、やっぱまずい…。口洗ってこよ…。

「…って、何やってんだバカ!!!」

「あだ!?」

 ばちーんっと瞬に頭を叩かれる。

 いったぁ…。何をするんだ瞬は…!!

 文句言ってやろうとしたら逆に肩を掴まれて至近距離で睨まれる。

 …こ、怖い…。