後は顔も拭いて、湿布を貼っておく。

 そこまで終わった頃にはバケツは3回も変えられてて、瞬も私も服が汚れてた。

 夏樹くんも手当で疲れたのか眠ってしまっていて、何となく気が抜ける。

「はぁ…。夏樹くん、なんでこんな。それに、この服あの時のまま」

「洗ってまた同じの着ただけだろ。あの日から20日は経ってんだぞ」

 そうじゃない気がする。

 洗ってるなら、こんな古い血の跡がついたままになんかなるの?

 なんで、あの時の手当てしたテープの切れ端がついてるの…?

「…夏樹くん、家、帰ってないんじゃないかな」

「…嘘だろ」

 瞬は何か察したのか、信じられないような顔で眠っている夏樹くんを見る。

 額にそっと触ると少し熱くて、傷のせいで熱が出たのかもしれない…。

「お父さん、解熱鎮痛剤ある?」

「え?…薬は置いてないな」

「秋奈!バファ○ン買って来たぞ!」

「ふーさん、どんだけ暇なんすか」

 瞬が突っ込みを入れてくれたけど、ふーちゃん高々と掲げるその袋に書いてある薬局、ここから自転車でも15分くらいかかるところにあるのに…。