--優side--


「…っ!」

一瞬キスしてたのかと思った。

さくらに聞きたいことあって教室覗いて見つけたものの、なんか手紙読んで顔引きつってるし、隣のヤツに顔覗かれては照れて真っ赤になってるし。


なんなんだよ。さくら。

お前も男の前ではあんな顔するのかよ。
女の子になりやがって。

俺はお前の幼なじみだ。
幼なじみという肩書きがないと話すことなんて出来ねぇんだ。



…つーか何でこんなイライラしてんだよ。

あ、そうだ、さくらに用事があって…



「…さくら。」


びくっと肩を震わして立っている俺を見上げた。

…何ビビってんだよ。

そんで俺だって分かってホッとするんじゃねぇよ。



「あ、優。どーしたの??」


「…いや、やっぱあとで話す。 」


「うん?」






「手紙。」


「…っ?!」

手紙という単語に以上に反応したさくら。
なんなんだよ。告られたのか。


「手紙がどうかしたの…?」



めっちゃ頑張って平常心保ってやがる。

俺はお前と何年の付き合いだと思ってんだよ。

お前のことなら分かる。

今のは言いたくないこと、だから隠し通そうとしていることだって。

目が泳いでるんだよ。



「何て書いてあったんだよ。」

少し強めに言ってみた。


さくらはずっと目をそらしている。


…あぁもう。


俺はさくらの顔を両手で挟むようにして持ち上げた。

あいにく俺は長く待ってられるほど心は広くねぇんだよ。


「…っ?!な、何すんのよ…」


…めっちゃ顔赤くなってる。


「みんな見てるからやめて!恥ずかしいよ…」


はぁぁ。そんな顔でみんなよ。

上目遣いは禁止だろ。




意地悪もこめて顔を近づけた。できるだけ無表情で。



「教えてくれないと手、離さないよ。」




さくらの目が少し開いた気がした。


…なんだよ。そんな話せないことなのかよ。

俺達幼なじみだろ?



「…し、てよ。」


「ん?」


「離してよ!優だから優だからこそ言えないこともあるの!」


「…っ」


さくらは俺の手をはねのけて走って教室を出ていった。


教室は一気に静まり返った。


隣の席のヤツはニヤケながら あーあ。なんて言ってやがる。


なんで、あんな怒ってたんだよ。


手紙の内容聞いただけだろ。



なんで、なんで








泣きそうになってたんだよ。



「野村くん。」


「…田島。」

さくらと仲いいヤツだ。


「こんな言い方アレだけど、野村くんはさくらの気持ち分かってないよ。 さくらは今すごい悩んでると思う。 もし、さくらが1人で解決出来ないと思ったら必ず野村くんに助けを求めると思う。」



「……」


「野村くんが大事だから。大切だから。自分の力で何とかしようとしてる風にわたしは見えるな。」



…っ、


なんなんだよ…さくら。

お前、あの手紙に何悩んでんだよ


何書かれたんだよ。