学校に着くと校門前はざわざわしていた。


あークラス替えか…


1年の時は優と同じクラスなれたからな…


どうか今年もっ!!




そんな思いは届くはずもなく


「さくらーー!あたしたち同じクラスだよっ!
念願だよ〜。1年間同クラよろしくねっ!」


親友の田島美香が抱きついてきた。


「えっ?!ほんとーー!?」


「ほんとほんと!嬉しいね〜。あっ、でも野村君は2組だよ…」



え…


あたしは急いで人の波をかきわけて掲示板にたどりついた。

2組を探すと、野村優をすぐに見つけた。


あ……ホントだ…



水川さくらと書いてあるのはおしくも3組。


そんな〜……


ガックリしているあたしの気持ちを察してか


「さくら…あたしでも良かったらよろしく、ね?」


美香が気まずそうに声をかけてきた。


あたしが優を好きだということを美香は知っている。 "もちろん応援するよ!"とまで言ってくれてる。

親友と呼べるのは美香くらいだ。


あたしは美香に抱きついた。


「うぅぅ〜みかぁーー。そんなこと言わないで〜。美香と一緒なのホントに嬉しいから!よろしくね〜」

体を離すと美香はにこっと微笑んだ。

あ、、


天使だ…

美香はものすごくモテる。

栗色の髪が胸まであってふわふわしてる。
目はくりくりしてるし、ずっとほっぺは赤いし。

毎日の癒しだ。

あたしなんかと一緒にいていいのかな、と思うほど可愛い。

女のあたしでさえ守ってあげたくなる何かがあるのよね、、。


なんて事を考えながら歩いているとすぐに教室にたどりついた。


2年生は1階だから楽だ。


あまり新しいクラスに乗り気じゃないけど、唯一の救いは優と隣のクラスになれた事かな


自分の席について辺りを見渡してみた。

うわ…

ホントに知らない人ばかりかも……


美香がいて本当によかった…


そういう美香はもう周りの子と話しているんだけどね



はは…なんて笑いながら、教科書とかを机の中に入れている時、何かに当たった気がした。


ん……?


それを取り出してみると


うわ、、手紙だ…


なんとなく内容の予想はつくんだけど、周りを気にしながら開いてみた。




"お前なんかが優くんに近づくんじゃねぇ。"



あー、はい……。


これは1年の時から止まないから慣れている。


優はファンクラブが結成されるほどモテてるからね〜


あたしと優は幼なじみだってたいていの人は知っている。

でもその幼なじみという関係に腹を立てている人はたくさんいる。


まぁこれと付き合っていくのが優を好きになるリスクだよねーーなんて思ってる。








「…その手紙。」


「?!」


…びっくりした、、、


隣の席の人が顔をのぞかせてきたんだもん。


ち、近い近いよ…顔…


少し顔を後ろに退けて、


「手紙?この手紙がどうしたの?」

さりげなく手紙を隠しながら平常心を装って聞いてみた。

普通を保てさくら……!


すると隣の席の人が顔を思いきり近づかせて

「ふふっ。かわいい、嘘下手くそだね。」

ちょ、ちょっちょょ……
顔近い!息かかってるから……

「顔を真っ赤じゃん。かわいいね」


まって、、なんなの…



「あ、紹介遅れたね。俺は、渡辺哲也。てっちゃんって呼んでね。名前は?」


は、はぁ…
そう言って、てっちゃんはあたしの顔をまたのぞきこんだ。

てっちゃんはいわゆる野球少年かな?
丸刈りに近い髪型だし、顔はきっと野球で焼けたであろう黒いし。



あ、名前を言わなきゃ。

「み、水川さくらです。よろしく」

ちょっと愛想悪かったかな〜なんて思ってたら


「さくらちゃんか!可愛い名前だね、よろしくね?」

そう言って手を差し伸べてきた。

え、握手?
だめだこういうの全然わかんないや、、


とりあえず握手をしたけど、、






てっちゃんが隣の席とは先が思いやられるな〜