「ならいいけど。じゃあ行くか」
「はい」
車はゆっくりと動き出す。
運転する姿は、いつ見てもかっこよく見える。
「姪っ子さん。誕生日すぐなんですね。急に用意する気になったんですか?」
「あー、今までは何がいいかわからないからお祝い金渡してたんだ。でも、今年は・・・」
「?」
「今さ、姪っ子、ひなっていうんだけど。実家の親・・・ひなからしたら祖父母のところにいるんだ」
あ・・・。
「急に義兄の海外出張が決まって。その上姉貴が今二人目妊娠してるんだけど、つわりがひどすぎて入院することになってな。で、俺の両親がひなの面倒を見てるんだ」
「そうなんですね・・・」
「突然親と離れて祖父母に預けられて、しかも自分の誕生日に親はいないって、もう小5だけど、やっぱさびしいものだろうなと。だから、プレゼントくらいしか俺には出来ないけど、ちゃんと祝ってやろうと思って」