「待ったか?」
「・・・いえ」
一条さんは何事もなかったようにそう言う。
恥ずかしいのを我慢して私は首を振った。
「わざわざ悪いな。いくか」
「はい」
一条さんとコンビニを出て、一条さんの車に乗り込む。
助手席は二回目。
すぅ、と息を吸い込むとほろ苦い煙草の匂いがした。
「タバコ、臭うか?」
「え?」
「いや、一応車の中は禁煙にしてんだけどな。服についた臭いがやっぱ残るよな」
「あ、いえ。気にしないです」
正直、たばこの臭いは好きじゃないけど。
一条さんの煙草の臭いなら・・・。
なんて・・・。
変なの。