「出会って初めの頃、聞いたことがあるんです。寂しくないのかって」



私の言葉を黙って聞いてくれていた洋介さんが私の背中を優しく擦ってくれながら切り出した。




「一華さんは、慣れてるからって言ったんです。寂しくないとは言わなかった。それを聞いて、思ったんです。寂しいのが当たり前になってほしくないって。寂しい時には、駆けつけられるようになりたいって」

「洋介さん・・・」

「でも、現実はうまくいかなくて、寂しい思いもさせてしまったし、そのことでケンカもしました。でも、想った事をちゃんと言ってくれるから。その想いにちゃんと向き合おうと思ったんです」




洋介さんの存在は、どれ程私を助けてくれたかな。
温かくて、優しくて。


それはそれは、大きく包まれてるような、安心感。



「一華さんの声に、耳を傾けてください。ちゃんと聞けば、話してくれる正直な子です。きっとそれは、お二人がよくわかっていると思います」




洋介さんはそう言って頭を下げると、もう遅いからと帰っていった。
残された私と両親は、しばらく黙ったまま時を過ごした。