「一華、昨日は本当にごめん。連絡もできなくて」

「・・・いえ」

「本当に、楽しみにしてた。行くつもり、だったんだ。・・・言い訳になるけど」




車に乗り込んだ一華に向かい合いそう告げた。
一華は目を伏せ俯いたまま俺の話を聞く。




「・・・言ってましたもんね。最初に。忘れられない人がいるって。それでもいいって言ったの私ですし。振り向かせるって大見得切ったのも私ですし」

「一華・・・?」



初めの頃みたいな敬語で。
拒絶されたような。




「好きだって、言ってくれましたけど。でも、結局、私は振り向かせることできなかったってことですよね。忘れてた私が悪いんです。浮かれてた私が悪いんです」

「なに言ってるんだ、俺は、ちゃんと一華の事好きだって。それは本当だ!」

「あの人が、忘れられない人だって聞いて、私不安だったのに。でも、洋介さんは私がいいって言ってくれて。クリスマスだって楽しみだって言ってくれて、私信じてたのに!」



ポロポロと大粒の涙が。
零れ落ちてくるそれを、拭おうと伸ばした手さえ払われてしまう。



「洋介さん、私より、広美さんを選んだ!クリスマスの夜に、私より広美さんと一緒にいることを選んだんだ!連絡もしてくれなかった・・・。昨日ずっと待ってたのに、朝まで、広美さんといたから連絡できなかったの?」

「え・・・」