「おい」

「なに」

「おはよ」

「おはよ」

彼の無愛想な「おい」から始まるいつもの日常。

もう慣れたし、これ以上を求めているわけでもない。

いや逆に、優しい方が怖いかもしれない。


「行くぞ」

「わかってるよ。ちょっとは気遣ったらどう?」

「お前に気遣う時間がもったいない」

むっかつく…

ほんと、嫌味しか言えないのかあの口は…


彼は、私と"腐れ縁"の一之瀬颯真。

幼稚園よりも前から一緒で、家も隣。

最近は家に行かないけれど、昔は毎日のように行き来していた。

まあ、颯真の弟の悠人が会いたいって行ってくれるから、たまには行くんだけどね。

「夏美置いてくぞ」

「レディーを置いてくなんてひどくない?」

「誰がレディーだって?」

「…クソ野郎」

「知ってるけど。ほら、ほんとに置いてくぞ」

もう……

朝から気分悪いし。