カウンターに行くと、
店員は一人しか見えない。

長身で細身の女性。
手足も長く顔立ちも整ってはいるが細く切れ上った目はずいぶんとキツい印象を与え、良く言えばスーパーモデルの様な、
悪く言えば狐…、
いやカマキリといった方がより正確な気がする。
少し苦手な感じがするその女性から目を逸らすようにして手元のメニューに視線を落とすと、

俺はその中に「抹茶」の文字を見つけた。
抹茶を気軽に飲めるカフェは、そうはない。

へぇ、珍しいな、と誰ともなく呟き、それを注文した。