それなのに…。

左腕の銃創を布できつく縛って止血しながら、ロスタムは歯を食い縛る。

痛みではない、怒りの為に。

「おい」

ロスタムは、近くに立っていた部下の兵士の胸倉を摑んだ。

「原子炉に残っている放射性物質はどのくらいだ?」

「げ、原発のですか?」

「そうだ!どのくらいだ?」

「に、200トンはあると思われますが…」

「そうか、よし」

ロスタムは踵を返す。

「9K38イグラを準備しろ」