「ロスタム、大丈夫ですか!」

部下の兵士が駆け寄って来る中。

「畜生!」

左腕を撃たれたロスタムは怒り狂っていた。

「畜生!畜生!畜生畜生畜生畜生畜生畜生!」

見逃されるだと?

この俺が、権力に胡坐をかいているだけの無力な大統領如きに見逃されるだと?

テロリストのこの俺が!

違う!

見逃してやったのはこの俺だ!

一度は拉致に成功し、奴から妻も娘も奪い、いつでも殺せる状況に追い込みながら、敢えて見逃してやったんだ!

一国の大統領だろうと、俺の手にかかれば生まれたての子犬同然だという事を、あの傲慢なニコライ大統領に思い知らせてやったんだ!