「何か勘違いしているようだな、ヒュー」

ニコライは言う。

「私は逃げている訳じゃない。血が滲むほど歯を食い縛って堪えているだけだ」

バニングの言葉を引用し、返答する。

「より万全を期して、ロスタムを倒す為の戦略的撤退だ。別に奴を見逃す訳じゃない。燃料棒を持ち出す?結構じゃないか」

ニコライは拳を握り締めた。

「その核燃料棒を冥土の土産に、奴は私の家族を奪った贖罪を果たすんだ」

「…悪い奴じゃないのは分かってるんだがよ…」

ヒューは難しい顔をした。

「どうもニコライの話は理屈っぽくて疲れるぜ」