言った通り、ロシアまでは長旅だ。

バニングが操縦を引き受ける間、ヒューとハルは機内で仮眠をとる。

今の内にバーで飲んでいたアルコールも抜いて、ロシア到着と同時に暴れてもらわなければならない。

と。

「!」

無線が入った。

『バニング』

抑揚のない声が耳に届く。

「コートニーか…先日はどうも」

『…私の胸に飛び込んだ事、忘れてないの…』

憮然とした声で言う無線の主。

それはともかく。

『ゴーストからの伝言を伝えるの』

コートニーは言う。

業界でも大手のPMSCs、デュラハン社のボスである傭兵ゴーストとバニングは、グリーンベレー時代からの顔見知り。

そういう理由で、傭兵稼業を始めた今も、何かと便宜を図ってくれている。