「テロリストの顔は見ていないの?」

「拉致されると同時に頭に袋を被せられたし、テロリスト達もバラクラバを被っていたからな」

ハルの問いかけに答えるニコライ。

「ただ…彼らの中の1人が喋るのは、チェチェン語雑じりのロシア語だった。しかもあまり流暢じゃない…もしかしたらロシア国内の人間ではないのかもしれない」

テロリストに拉致されるという状況下で、ニコライは犯人グループをよく観察していた。

流石は元スペツナズの冷静さという所か。

「なら必ずしもロシア人が犯人とは限らないって訳か」

犯人探しは難航しそうだ。