ロシア大統領は、なかなかに頑固者である事が判明した。

Disposableの誰も、ニコライを説得する事が出来ない。

「バニング」

困り果てたように、バニングの顔を見るハル。

…バニングもまた、小さく溜息をつくしかない。

彼は持参した装備品の中から、黒い目出し帽を取り出した。

軍隊では頭部や顔面をガラス片や金属片などから保護する為に目出し帽を着用する場合が多い。

また、テロ組織や犯罪組織・麻薬組織・反社会的カルト団体などに対応する警察・軍隊の特殊部隊などでは、これらの部隊の所属者や家族への報復（逆恨み）対策として、顔を隠せる目出し帽を着用して戦闘や警備活動、捜索を行う事がある。

クリミア戦争中の1854年10月、東ヨーロッパの黒海に面した町バラクラヴァでイギリス軍とロシア軍が争ったバラクラヴァの戦いにおいて、寒冷な気候の戦地に出兵するイギリス兵の為に妻達が顔ごと覆う手編みのウールの帽子を持たせた。

その帽子を被って戦った地名から『バラクラバ』と呼ばれ、世界的に広まった。