バニングの視線の先には、木造の粗末な造りの小さな小屋があった。

人が住んでいる風でもなく、まるで農具を片付けておく簡易倉庫のようなものだ。

大雪が降ったり、突風が吹いただけでも壊れてしまうそうな小屋。

しかしバニングは直感的に、あの小屋が怪しいと睨んでいた。

「行くのかバニング」

「ああ、ヒュー、ついてきてくれ。ハルは車内で見張りを頼む」

ノベスキーN4アサルトライフルを手に、車を降りるバニング。

ヒューがMP5A4を構えて後に続く。

暗闇に紛れて、音を立てずに小屋へと近付いていく2人。

身を低くし、草むらに隠れるようにして接近する。

…内部にテロリストが潜んでいないとも限らない。

決して気配を悟られぬように、細心の注意を払って小屋の扉の両側に。

内部の様子を窺いながら、2人はアイコンタクトで合図を出し合う。

バニングが扉を開き。

「っ!」

ヒューがMP5A4の銃口を内部に向ける!