「もうすぐウクライナの国境付近だな」

バニングが呟く。

騒乱に荒れるウクライナ。

あちらは無法地帯だ。

国の機能が麻痺していると聞く。

迂闊に近づくと争いに巻き込まれかねないが、大統領救出の為ならば止む無しか。

「何時でも発砲できる準備はしておけよ」

バニングの言葉で、ヒューはMP5A4を、ハルはジェリコ941を準備する。

と、その時だった。

「きゃっ!」

突然の急ブレーキ。

後部座席から立ち上がって身を乗り出していたハルの豊満な胸が、バニングの後頭部に押し付けられた。

「な、何よバニング、もう」

頬を赤らめて言うハル。

しかしハルには目もくれる事なく、バニングは外の景色を見ている。

「あの小屋…臭わないか」