モスクワを出て、何時間が経過しただろうか。

既に夜になっていた。

こうも広い国土だと、移動だけで時間を要してしまう。

だがHU-16で空から接近するには着陸する場所もないし、テロリスト達にこちらの接近が悟られては何の意味もない。

陸路で移動するしかなかった。

ヒューが情報の収集は怠らずにいるが、目新しい情報は何も無し。

焦燥に駆られる。

バニングの読み通り、大統領はもうテロリスト達によって殺害されているのではないか。

だとしたら、この任務自体が失敗。

それどころか、国の指導者をテロリストによって殺されたロシアは、再び混迷の時代へと突入する事になる。