「とはいえ、ここまで復興させたのは、現大統領の手腕による所が大きい」

「ニコライ・ウラジーミル・ウラジーミロヴィチ…だったか」

ハンドルを握るバニングの言葉に、ヒューが呟いた。

「確かまだ若い政治家だったよな。バニング、アンタと同じくらいの歳の」

「確かに大統領としては若いわよね」

ハルも頷く。

その若さで一国…しかも第三次大戦後の混乱期の激動の時代を潜り抜け、更には第四次大戦中も国の舵取りを行ってきたのだ。

その手腕は認めざるを得ない。

認めざるを得ないが、その『出来過ぎる若き大統領』が面白くない輩も少なくない。

大統領と対立する議員、彼の政策に反対する民間団体など。

そういった連中の誰かが、大統領を亡き者にしようと企んだとしても、今の世界情勢ならば何ら不思議ではない。