モスクワ上空に到着。

許可を得てHU-16を民間の飛行場に着陸させ、そこからは現地で手に入れた四駆で移動する。

ここからウクライナの国境までは300キロ程度だ。

「混沌としているな、モスクワは」

四駆のナビシートから街の様子を見ながら、ヒューが呟いた。

…第四次大戦よりも僅か数年前の第三次大戦時、このモスクワは未曽有の大災害に匹敵する生体兵器の被害によって死都と化した。

向こう10年は確実に機能しないと言われていたロシアの首都。

遷都案まで出ていたものの、この都市は見事に復興を遂げた。

とはいえ、今も当時の爪痕は残り、国内が不安定な状態である事に変わりはない。