「コートニー」

すぐに踵を返しつつ、ガイストは言う。

「その末端の卸売業者に伝えろ。『お前はクビだ』とな」

幾ら金次第で尻尾を振る相手を変える民間軍事会社でも、核戦争勃発の引き金をテロリストに売り渡す真似は出来ない。

金に目が眩んで、その程度の判断も出来ないような奴は、デュラハン社には要らない。

「人類滅亡しちまったら、民間軍事会社も儲からなくなるからな」

「現金なの…」

呆れるコートニー。

「それに」

ガイストはギリッと歯噛みする。

「ウクライナには『連中』もいるだろう。まさかとは思うが…アイツら核戦争勃発の引き金のすぐ近くにいるかもしれん」