今日の執務も終わった。

後部座席に背中を預けながら、彼は充足感に溜息をつく。

今日は妻のリュミドラに花束を用意している。

特に何の記念日でもないが、たまにはこういうのもいいだろう。

また長女のマリーヤ、次女のカテリーナにからかわれるな。

『2人も娘がいて、まだ新婚気分なんだから』と。

仲がいいのはいい事じゃないか、大目に見てくれ。

それにしても、マリーヤは今年、カテリーナは来年大学生。

時が経つのは早いものだ。

よちよち歩きだった娘達が、もう大学生か。

美しく聡明な娘に成長してくれた。

子供の幸せほど、親にとって嬉しい事はない。

最愛の妻、そして可愛い娘達。

私は世界一の幸せ者かもしれないな。

…さぁ、そこの曲がり角を曲がれば我が家が見えてくる。

待っていてくれ、リュミドラ、マリーヤ、カテリーナ。

父さんは今帰るぞ。